2026.07.13
「自筆証書遺言書保管制度」をご存知ですか?

遺言の方式には、大きく分けると普通方式と特別方式があります。
普通方式の遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言という3つの方式があり、特別方式の遺言には、危急時遺言、隔絶地遺言という2つの方式があります。
普通方式の遺言にはそれぞれ長所、短所があるため、作成の意図や目的などによって、どの方式をとるのかを選ぶことになります。
通常多いのは、普通方式の遺言のうち、自筆証書遺言(民法968条に定められています。)と公正証書遺言(民法969条に定められています。)です。
自筆証書遺言(民法968条)
遺言者が、遺言の全文、日付、氏名を自書し、押印する遺言です。
自筆証書遺言の長所としては、①費用がかからない、②遺言の存在及び内容を秘密にすることができる、などの点があげられます。
一方、短所としては、①遺言書を紛失したり、偽造、変造されたりする危険性がある、②方式の不備、内容の解釈に問題が生じる可能性がある、などの点があげられます。
公正証書遺言(民法969条)
公正証書遺言は、① 証人2人以上の立会いがあること、② 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること、以上の方式にしたがって作成される遺言で、公証人法の定めるところにより作成しなければなりません。
公正証書遺言の長所としては、①公証人のもとに原本が保管されるので内容の変造、紛失の危険がない、②公証人が関与することにより遺言の効力が問題になる危険性が少ない、③家庭裁判所での検認の手続きが不要である、などの点があげられます。
一方、短所としては、①公証役場に証人とともに行かなければならず、証人の立会いを要するなど、手続きが煩雑であること、②費用がかかること、などの点があげられます。
こうした自筆証書遺言の弱点を補うために創設されたのが、法務局による「自筆証書遺言書保管制度」です。
この制度を利用することで、次のようなメリットが得られます。
自筆証書遺言書保管制度のメリット
紛失・改ざんの防止
遺言書を法務局で原本保管するため、ご自宅保管に伴うリスクを解消できます。
なお、遺言書は、遺言者死亡後、原本は50年間、画像データは150年間、適正に保管管理されます。
家庭裁判所の検認が不要
通常、自筆証書遺言は相続開始後に家庭裁判所の検認手続きが必要ですが、本制度を利用した遺言書はこの手続きが不要となり、相続人の負担が軽減されます。
方式の外形的なチェック
保管の申請時に、法務局職員(保管官)が民法968条所定の方式(日付・氏名・押印等)を確認するため、形式面での不備を未然に防ぎやすくなります(あくまでも外形上の確認にとどまり、遺言書の内容については、法務局では関与できません)。
相続人への通知制度
遺言者が亡くなった際、相続人等に遺言書が保管されている旨を通知する仕組みもあり、遺言の存在が埋もれてしまうことを防げます。
公正証書遺言に比べて手続きの手軽さを維持しながら、自筆証書遺言の弱点を補える点が、本制度の大きな特長です。
「遺言を残したいけれど、公正証書遺言は少しハードルが高い」とお考えの方には、特におすすめできる制度です。
申請にあたってのご注意
本制度の保管申請は、必ず遺言者ご本人が法務局へ出向いて手続きを行う必要があり、代理人による申請は認められておりません。
また、申請書や添付書類に不備があると、その場で受け付けてもらえず、書類を書き直して改めて法務局へ足を運ばなければならないケースも少なくありません。
せっかくのお時間を何度も無駄にしてしまうということも、本制度を利用される方からよくうかがうお悩みです。
加えて、法務局による確認はあくまで方式面にとどまり、遺言の内容そのものの有効性や実現可能性について審査されるわけではありません。
そのため、記載内容によっては、いざ相続が発生した際に遺言者の意図どおりに実現できないおそれも残ります。
当事務所では、申請書の作成をはじめ、戸籍の収集などの事前準備に加え、遺言の内容がご意向どおりに実現されるよう、記載内容についてもご相談を承っております。
書類の不備や内容面の不安をあらかじめ解消したうえで法務局にお越しいただけますので、スムーズな手続きにつながります。
ご自身のケースでどちらの遺言方式が適しているかも含め、丁寧にご案内いたしますので、お気軽にご相談ください。
この制度の詳しい説明は、こちらをご覧ください。
